ガラパゴス化する日本 (講談社現代新書)
20th 9月, 2010 - Posted by admin - コメントは受け付けていません。
本日は2010-02-18に発売されたガラパゴス化する日本 (講談社現代新書)について紹介。
非常に勉強になる良書です。
それでは、レビューの紹介です。
参考にしてください。
世界から見た日本とデファクトスタンダード化
最近ガラパゴス化という言葉をよく耳にする。ガラパゴス化が本当に意味すること、負の側面、正の側面を学びたくて購入通読。
読んでみると、今の日本の状態をガラパゴス島にたとえて、これから日本という国がどのような戦略をとるべきかまで追及し、産業、人、国のみっつの側面からこのままではどのようなリスクがあるか、リスクを回避するために国が、企業が行うべき施策を提案してくれている。現状の日本における産業のガラパゴス化の実例で携帯電話などはなんとなく意識はありましたが、Felicaや、非接触型カード、医療サービスにまで言及しているのは面白い。著者も述べているとおり、ガラパゴス化は悪の側面だけでなく、ハイブリッド化やデファクトスタンダード化が成功すると大きな利益を生む根源になりえる。問題はどのように日本という文化を世界と融合させていくかということだと認識することができ、手法として、出島化、モジュール化、形式知化、新しいビジネスモデルの構築などの手法の価値も改めて認識しました。日本という国の枠だけでなく、組織という枠に対しても同様のアナロジーを展開し考えてみたくなりました。
これから日本が迎えるであろう状況と、それを回避するべき施策が提示されていて世界から見た日本という国の立場を学ぶことができました。
半導体デバイス品についての貢献は?
ガラパゴス化した流れは、3Gで儲けようと海外進出したが → まだ3Gどころか2Gで相互利用(主にGSM)に投資しており受注できない → 体力なくなって海外から撤退 → 国内の端末販売奨励金に群がることになり、キャリアの言うことを聞けたメーカーが残った → その結果高機能の端末となった ではないでしょうか。
しかし、カメラ用のCCDデバイス、音楽用のデコーダーIC、それらを実装するためのノイズフィルターなど、このガラパゴス端末の部品進化への貢献は大きいものだと思います。
つまり、端末メーカーだけを見て書いているから、ガラパゴスってなっちゃているのでしょう。
生物では、ガラパゴスの生き物を構成する細胞がグローバル化することはないでしょうが、部品は完成品以上にグローバル化(というか独占に近い寡占)となることが多いです。
この視点が抜けていると思います。なので星2つです。(2.5としたかったのですが、できなかったので2つです)
しかし、売れるために本当に良いタイトルを考え付いたという意味では星5つです。メディア界ではとても大切な著者だと思います。
それにしてもSIMフリー、端末販売奨励金が頼りだったガラパゴス生物を絶やすことにならないか。
絶えると部品メーカーも徐々に体力がなくなって、すべてがなくなるかも。なんとかしなければ。この意味では著者の思いと一緒だと思います。
ガラパゴス、ガラパゴス、と選挙カーのごとき連呼に食傷
仕事の関係で手に取った。著者は元シンクタンクのアナリストだそうだ。
「日本の携帯電話は極めて高機能だが外国ではちっとも売れない、それはグローバルスタンダードから隔絶した孤立した環境で独自の進化を遂げたからだ、まるでガラパゴス諸島のイグアナのようだ」
これが最近流行りの「ガラパゴス化」の当初の意味だが、本書ではその比喩を携帯電話だけではなく日本全体に拡張して、現在の日本の停滞を考察しようとしたものだ。本書の定義によるとガラパゴス化とは「日本が独自進化して世界から逆にかけ離れてしまう現象(p4)」である。
日本企業、日本国、日本国民の3つについて、脱ガラパゴス化のためのアイディアを披露しているが、どうにもすっきりしない。例えば、ガラパゴス化せずグローバル化に成功した事例として柔道を上げている。しかし外国人に受けたらそれは「脱ガラパゴス」なのか。最近は日本食や漫画の人気も高いらしいが、それも「脱ガラパゴス」なのか。日本の漫画家で外国人を意識して書いている人がどれだけいるというのだろう?
少なくとも文化とビジネスは違う。横割り世界史 (図解雑学)を読んでしみじみ思ったが、人類の歴史は即ち戦争の歴史で、戦争とは即ち「地面」の奪い合いである。そして、言い切ってしまえば、ビジネスとは「戦争」であり「地面の盗り合い」なのである。柔道やマンガが外人に受けるというようなレベルの話では決してない。著者にはこの視点が完全に抜けている。国境は決してなくなりはしない。そして国家は常に自国の繁栄を志向する。大前提はそこだ。
携帯電話に限らず、政治、経済、産業、教育等々全てにおいて日本に停滞感、閉塞感があるのは事実だが、なんでもかんでも「特殊な進化」で説明しようとするからわけがわからなくなる。「ガラパゴス化」というキーワードを最初に思いついたのは著者のグループだそうだ。はやり言葉の元祖、を強調したいのだろう。しかし著者がいう「ガラパゴス化」の内実はみなそれぞれ異なる。例えばソニエリに関する著者の見解は間違っている。エリクソンはノキアと安値競争になって儲からないから携帯電話を本体から切り離しただけだ。ガラパゴスとはなんの関係もない。
ガラパゴス、ガラパゴス、と選挙カーのように連呼しなければ、本書に書かれてる日本の状況分析自体は悪くはない。しかし、我田引水というか牽強付会というか、ご飯にもうどんにもそばにもパンにもみんなカレーをかけて食べるようなもので、いいかげん食傷気味である。その点が残念だ。
ガラパゴス化する日本
日本の製造業がガラパゴス化するということはそれだけ知価価値が高いという証拠である。先進国だけで経済が回っていた環境では日本の製造業が世界のベンチマークになりえたが、現在では中国やインドといった莫大な人口を抱えた新興国を中心とする世界経済であるため知価よりも大量生産型の方が流通しやすいという一面があるのかもしれない。大量生産型スタイルは20年ほど前の日本が一番得意とした分野であり、それによってバブル景気がうまれ、バブル崩壊を経験した日本が考えたのがより個性的で知価価値の高い製品である。それを考えると今はガラパゴス化している日本製品が数年後には世界のベンチマークになる可能性は非常に高いのではないかと思われる。我々は本書に書かれているほど日本の将来を悲観する必要はないのではないかと感じたため、今回は星3つとした。
過保護な日本はグローバル世界を生き残れるのか
日本の製造業が「ガラパゴス化」している、というのは、よく言われており、携帯電話がその代表例である。本書では、日本の企業のガラパゴス化、日本のガラパゴス化、日本人のガラパゴス化、という3つの面から、日本の将来に関する課題とそれに対する対策についての提案を行っている。
日本は外国人の受入れに消極的であるため、人口減少が始まった日本は、国内市場が縮小していくことは免れない。この状況を、日本をガラパゴス諸島に、日本人をガラパゴス諸島で食料となるサボテンが減少しているにもかかわらず、そのサボテンに群れ貪り食べているガラパゴス・イグアナに見立てている。
日本の製造業は、世界でも例を見ないほど商品の品質に対する厳しい眼を持ち、またその商品性に対する厳しい要求を持つ消費者からなる日本市場を相手にしていることで、高い国際競争力を身につけた商品を海外に輸出してきた。しかし、何年か前から、その進化の方向性がグローバルスタンダードから外れてきている。
これには日本の消費者が最先端に行き過ぎてしまったことも原因の一つではあるが、日本が国際標準化競争に疎いことも大きな理由である。前社は商品性、後者は商品性を実現する手段に関する課題である。手段である技術競争において、ルール作りで負けているのである。これは、日本(霞ヶ関)のガラパゴス化であり、日本人のガラパゴス化が原因である。
本書では脱ガラパゴス化の方策を述べている。これらの方策は有効であると思うが、個人的には、企業の脱ガラパゴス化が、必ずしも日本および日本人の脱ガラパゴス化に繋がっていかないことが心配である。
ご購入を検討の方はこちらからどうぞ。
今日も非常に良い勉強が出来ました。
次回の紹介もご期待ください。
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