人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか
1st 9月, 2010 - Posted by admin - コメントは受け付けていません。
本日は2007-03に発売された人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのかについて紹介。
今の僕が求めていた素晴らしい本です。
それでは、レビューの紹介です。
参考にしてください。
ストーリーは骨太だが
著者はおそらく日本を代表するエコノミストのひとりで、先頃菅内閣の内閣府審議官に抜擢されることがアナウンスされている。つまり、この人が今後の日本政府の経済政策のシナリオを書くことになるのだろう。その水野氏の代表作であり、かつてのベストセラーが本書だ。
既に3年近く前の本であるが、そういう事情で手に取ったが、基本的に経済史の観点から経済をとらまえているようであり、おそらく本書が今年発刊されたとしても著書は同じ様なことを書いていたのではないだろうかと思われた。要はストーリーが骨太なのだ。だから、全般的にいまひとつ著者の主張がはっきりと伝わって来ない気がする。歴史に学ぶことは重要だ。なぜなら、人はすぐに過去を忘れるからだ(おそらくは、苦難を乗り越えるために忘れるようにできているのだと思うが)。したがって、本書を読むことに意味が無いとは言わない。しかし、未来は過去や現在の予測を超えたことが起きるのは必定だ。本書を読んで、改めてそのことを肝に銘じた。
いろいろいやな点がある
管首相の官房審議官というのがどの程度の政策影響力があるか、不明だが、財政政策派やリフレ派に反対する人が登用されること自体は結構なことと思う。ただ、水野氏は、大きな話(お好きな歴史の話)というか、恣意的な数字の使い方(成長部分が非常に好きなようだが、成長しない従来の部分と、それを守る利権や法律を無視して判断してよいのか?また、成長率の高い領域に行けというが、自国市場や先進国にいくならともかく、後進国に行く場合には結論として極めてコストになるし、軍事外交の後立ての弱い日本にはとても苦しい戦いになる)をするように思われるので、へんな政策(とりあえず環境方面の不合理な国家政策とか、大量移民誘致とか、)に結びつけられないか心配だ。
Scum of the Earth
マクロ経済理論や数字がわんさか登場してシロートには辛いが、我慢して読めば壮大な歴史ロマンの本と出会った気分になれる。尤も本物の歴史には本当はロマンなど(多分)ほとんどない、という意味での歴史ロマンなのだが。
1995年以降、国際資本の完全移動性が実現した。かつて国境内に留まり「国民」と喜びと悲しみを分かち合ってきたはずの資本に羽が生えてしまった。国家と国民と資本の利害の一致が崩壊し、そして始まったのは、世界規模で見れば16世紀以来綿々と築き上げられてきた「近代世界システム」の崩壊だという。資本を指導しつつ国家が推進してきた国民経済の目標、国民が中流を目指すように働きかけてきた「大きな物語」が終わったのである。
16世紀の西欧、と言われてその様相を縷々と語れる一般ピープルはいないと思うのだが、南米で銀山を発見してから労せずに金満化した覇権国・スペインが浪費の果てに1557年に財政破綻宣言をしていた、と皆さんご存知だろうか。以後西欧は20年不況に陥り、スペインに貸し込んでいたイタリア商業都市は没落する。16世紀、ジェノアは史上最低金利を記録するのだそうだ。十年強にわたって長期債利回りが2%以下で推移するのである。これを「利子革命」と呼ぶのだそうだが、日本の十年国債利回りはそのジェノアの記録を絶賛更新中である。スペインはアメリカか。ジェノアは日本か。そしてBRICs諸国はスペインの落日とともに勃興を始めた英蘭独仏なのか。
読了して印象に残ったのが「注記」に登場するブローデルからの引用のひとつ。二極化した地中海世界を「豊かでたくましい貴族階級と、ますます数が多くなる貧乏人、極貧者、『毛虫とコガネムシ』、残念だが余りあるほど多い人間の昆虫の大衆」と形容する下りだった。「人間の昆虫」か。一応は希望を鼓舞して終わる一冊なのだが、ドンキホーテを出してくるあたり、著者さんは実はかなり悲観していないか。
本書そのものがグローバル化の本質を見誤った好例といえる
2009年において、外需に頼った企業は軒並み苦境に陥り、金融経済に頼ったアイスランドは国家破産の危機を迎えました。
グローバル化や金融そのものが消滅するわけではないが、本書のような見方がむしろかの側のプロパガンダに踊らされた結果にすぎなかったことが明白になったといえます。
こういった分析の何が誤りだったのかを検証するにはもってこいの本ではないでしょうか。
良い本
きちんと、マクロ経済学ISバランス論を踏まえて議論されている。出た時に読み、今回改めて読んだが、しっかりしている。
ISバランス論とは、(S-I)=(G-T)+(EX-IM)のこと。Sはsaving(貯蓄)、IはINVESTMENT(投資)だから、その国の貯蓄超過、Gは政府Tは税金だから、G-Tは公債(財政赤字)、EX-IMは輸出-輸入だから、経常(貿易黒(赤)字)。日本や、中国は左辺のS-Iがプラス。だから、右辺の2つがプラス(財政赤字)・プラス(貿易黒字)。
アメリカは逆に、左辺がマイナス(国内の貯蓄不足)、だから、左辺を合計するとマイナス。つまり+財政赤字、大幅な−貿易赤字。
経常(貿易)赤字は、イコール外国からの資本流入額だから、アメリカは世界中から、アメリカに投資してもらっている。貿易赤字なのに、この10年で、GDPは1.69倍。
まあ、この儲けシステムが、例の土地バブル崩壊により、壊れてしまったのだが。
ご購入を検討の方はこちらからどうぞ。
今日も非常に良い勉強が出来ました。
次回の紹介もご期待ください。
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